産婦人科医

コロナ禍でママになるあなたへ

ChuChuから赤ちゃんのいるご家族に向けて、医師であり、母である産婦人科医の池田先生からのお話をお届けします。

<監修医師>
池田 裕美枝(いけだ ゆみえ)

産婦人科専門医 認定内科医 女性ヘルスケア専門医

京都大学大学院医学研究科健康情報学の博士課程に在籍中。2児の母。

京都大学リプロダクティブ・ヘルス&ライトライトユニット代表、NPO)女性医療ネットワーク副理事長

神戸市立医療センター中央市民病院女性外来、京都大学医学部附属病院女性ヘルスケア外来、二宮レディースクリニック婦人科外来などを担当しています。

はじめに

まず、未曾有のパンデミックのなか、毎日感染対策に尽力してくださっているこのコラムをご覧のみなさんへ、医療者のひとりとして心からお礼申し上げます。

不安な気持ち

妊娠したいけど、ワクチン接種のタイミングと前後したらどうしよう。
妊娠したけど、感染しないためにどうしたらいいんだろう。
出産したら、赤ちゃんへの感染対策はどうしたらいいんだろう。
明確な答えがない分、みなさまそれぞれ、いろんな不安があるかと思います。

でも、あなたがいま、近い将来に赤ちゃんを迎えたいという気持ちを持っておられること。それは本当に素晴らしいことです。そして、近い将来、あなたの子どもとなるその人にとっては、あなたが健康であることこそが、とっても大切なことです。
ぜひ、今自分が持っている健康を十分噛み締め、(持病があるひとも、健康な部分はあるはず!)大切にしてください。

「子育て」から「孤育て」へ

赤ちゃんは、ひとりで育てるものではありません。
京都大学元総長、ゴリラ研究者の山極壽一先生によると、赤ちゃんが泣くのは人間だけだそうです。私達の遠い祖先は、二足歩行をはじめ、頭が大きく発達したために、生まれて1年もあるけないような未熟な状態の赤ちゃんしか産めなくなってしまいました。餌をもとめて草原を歩くとき、母は赤ちゃんを群れに置いて出かけるしかありません。だから、ヒトの赤ちゃんは泣いて大人に助けをもとめる必要がありました。泣けば、群れにいる誰かが餌を与えてくれます。群れの中で育つことができる。ヒトは、社会の中で赤ちゃんを育てることで、進化が可能になった、ということです。

それなのに、現代の日本では、小さなお部屋にママと赤ちゃん、たったふたりで子育てをしています。「孤育て」です。いま、コロナ禍でさらに「孤育て」は悪化しています。
コロナ禍で里帰り分娩を諦めた方もいるでしょう。分娩時に夫や母に付き添ってもらったり、産後入院中に誰かがお見舞いにきてくれたり、ということも難しくなりました。産後に両親や義理の両親に助けてもらうことも、ママ友とランチして気分転換することさえも困難。これは、ヒトの子育てにとって、大変に不自然な状況であるのです。

みなさんにお伝えしたいこと

これから赤ちゃんを迎えるみなさんは、ぜひ『人とのつながり』を大切にしてください。コロナ禍であっても、私達は繋がれます。一緒に住んでいる人とのコミュニケーションを大切にして、最大限助け合ってください。一緒に住んでいない人とは、ビデオ会話でも、電話でも、SNSでもお手紙でもいいから、つながっていてください。ママのためのオンラインサロンもたくさんあります。自分の健康のために、是非活用してください。

ワクチンの影響や、赤ちゃんへの感染対策を心配するのは大事です。でも、それよりもっと大事なのは、お母さんとなるあなたが健康で笑っていることです。いまあなたは、心から楽しいと思えることがありますか?もっと笑っているために工夫できることは、何ですか?

あなたの健康のために、私たち産婦人科医や病院のスタッフは、何でもサポートしたいと思っています。ぜひお気軽に医療機関をご活用くださいね。

この情報をシェアする