乳児の起こりやすいお口の病気について
乳児の時期には、お口の中にさまざまな症状が現れることがあります。そこで、お口の粘膜や歯ぐき、舌に現れる病気の種類ごとにその特徴や対処法など、病名別でまとめてみましたので参考にご覧ください。
赤ちゃんの舌に白いミルクかすのようなものがこびりついていることがあります。こすっても取れない白いものの正体は「鵞口瘡(がこうそう)」という症状です。カビの一種で、舌だけでなく頬の内側の粘膜や上あご、歯ぐきなどにできることもあります。
なぜ赤ちゃんのお口の中にカビが生えてしまうようなことがおこるのでしょうか。また、その対処方法などをまとめてみましたので、参考にご覧ください。
鵞口瘡を起こしている要因は、カンジダアルビカンスという、身体に起こるカビの一種です。この菌に感染することによって起こるため「口腔内カンジダ」とも言われます。カンジダは人間の腸や膣で増殖する真菌なので、出産時に産道を通るときに感染するケースもあります。もしくは産後、お母さんの手指や乳頭、哺乳瓶の乳首などに菌が付着していたことから感染する可能性もあります。
舌などの口腔内にできていると、授乳中の赤ちゃんであればミルクかすが残っているんだろうと勘違いしやすく、感染症だと気づかないこともあるでしょう。新生児に2~5%程度の割合でみられる感染症で、1歳を過ぎるとほとんど起こらなくなります。
一見痛々しく見えますが、お子さんが痛みを感じることはほとんどありません。ただし、中には不快感を感じるのか、ミルクの飲みが悪くなるお子さんもいるようです。
痛みはないと言われていますが、赤ちゃんの食欲が落ちることがあるため、授乳や離乳食の進みが悪い場合はお口の中をチェックしてみてください。ミルクかすの場合は湿らせたガーゼで払拭すれば落ちますが、鵞口瘡であれば拭いても取れません。
ほとんどのケースが自然に治癒するため、特に治療方法は決まっていません。不快感を感じているためか、もしもぐずりが続くようであれば、カンジダの治療薬を塗布して様子を見ます。繰り返すお子さんもいらっしゃいますが、成長とともに抵抗力が上がれば発症しにくくなってきます。
産後感染のリスクを減らすためには、1歳ころまでの授乳や離乳食時にはお母さんの手指を清潔にし、哺乳瓶、食器等を清潔に取扱いましょう。とはいえ、あまり神経質になりすぎることはありません。カンジダ菌は健康な時には身体に害を及ぼすことはありません。免疫力が高まり抵抗力が付けば、自然に発症にしにくくなっていくからです。できる範囲の消毒や清潔を心がけて過ごしましょう。