3歳までに歯は決まる
むし歯になりやすい歯、むし歯の予防方法について、小児歯科医であり広島大学名誉教授の香西先生に詳しいお話をお聞きしました。
お子さんが健康にすくすくと成長し、整った歯並びになるためには、乳歯の時期から虫歯のない健康な状態で、永久歯への交換期を迎えることが大切です。
子どもの虫歯予防で大切なポイントは次の4つです。
①食後の歯磨きを十分に行う
②虫歯の原因菌の感染と増殖を防ぐ
③砂糖の摂取量を減らす
④歯質を強くする
虫歯予防のポイントを押さえ、お子さんの歯が虫歯にならないよう、しっかり予防していきましょう!
虫歯予防のためにはまず、どうやって虫歯になってしまうのか知ることから始めましょう。
虫歯は4つの条件が揃うと発生します。お口の中に「歯」があり、そこへ「糖分」が取り込まれ、歯磨きされないまま「時間」が経過すると「細菌」が増殖して酸を作り、歯が解けてしまうのです。
これら4つの条件がそろわないようにすることが虫歯予防につながります!
食事をすると糖分を好む菌がエサにした副産物として酸を産出します。また、菌がどんどん増殖し「歯垢」を形成して歯の表面にこびりつきます。歯垢の中で増殖しながら酸を放出し続けるため、酸に弱い歯の表面が解けてしまうのです。
食べかすの除去はもちろん、菌が歯垢を作り出せないようにするためにも、食後の歯磨きは大切です。
外出先等ですぐに磨くことができない場合は、水やお茶を飲んだり、うがいをするだけでも十分効果が得られます。
家族やきょうだいで同じ食事をしていても、虫歯になりやすさに差があることがあります。虫歯の菌が多ければ、同じ食事でもさらに虫歯になりやすくなってしまうのです。虫歯ができにくい環境にするためにも、虫歯の原因菌の感染と増殖を予防しましょう。
生まれてすぐの赤ちゃんのお口の中は無菌です。スプーンやお箸を共有したり、キスなどのスキンシップから移るため、赤ちゃんのお世話は共有の食器は使わないなど心がけてみてください。また、お子さんのお世話を主に行う人のお口の環境を良好にしておくことも大切です。
虫歯の原因菌の大好物である糖分を減らすことも虫歯予防には欠かせません。
「おやつといえば甘いもの」になっていませんか?
本来おやつは3食の合間にお子さまの栄養補食です。いつも甘いものを食べるのではなく、おにぎりやふかし芋、バナナなど砂糖が使われておらず腹持ちの良いものを中心に摂るように心掛けましょう。
虫歯予防のためには、歯が酸で溶けにくく強い歯質にすることも大切です。
歯の表面はエナメル質という固い層で守られています。ところが、エナメル質は酸にさらされるとカルシウムやリンといったミネラル成分が抜けてしまいます。この状態を「脱灰」といい、脱灰状態が繰り返されると虫歯になってしまうのです。
歯質強化にはフッ素塗布がおすすめです。フッ素にはミネラル成分の補給だけでなく、脱灰した歯質を再石灰化を促進したり、菌の活動を抑制して歯を溶かす酸が作られるのを抑える働きもあります。
小児歯科では、お子さんのお口の状況に合わせた間隔で定期的に歯科受診をすることを推奨しています。お口の環境の変化が大きいお子さんたちの歯を虫歯から守るためには、定期的にお口の状況をチェックし、虫歯予防のための歯磨き法や予防薬の塗布などを受けることで予防効果が高くなるためです。
また、幼いころから定期的に歯科に通うことで、お子さんの健康意識が高くなり、きっと自身の健康管理ができる大人に成長することでしょう!